武道家でドラマーの親、息子は和太鼓奏者。 親は息子がその道へ行くとは思っていなかった。そんなすれ違いは当たり前

ごんぎつねは 晃

国語か。

息子が読解力不足だと気付いたのは、小学4年生の頃だった。

 

忘れもしない「ごんぎつね」。

この本を読んで、そこに書かれてある問題を解いた。

しかも、大人総出でだ。

問題を読みようによっては、相当難しい問題だ。

それくらい曖昧な言葉が並んでいたのだ。

当然、小学4年生には難しいと感じた。

 

しかし、これをやっていて気付いたのは、大人の読解力不足だった。

だから、全員で小学4年生の国語に取り組んだ。

埒が明かないので、単純な問題を作った。

 

空から風船が落ちてきます、空から風船も落ちてきます、空から風船が落ちてきました。

というような問題を絵を書いて、見ている人の視線はどこ?文章から何が分かるか、そんな勉強をしたものだ。

夕食を終えると、国語の時間になるのだ。

 

私が仕事に出て、その出先からも電話で息子に問題を出していたのを思い出す。

新宿歌舞伎町の公衆電話は、ホステスの姉ちゃんや、その筋のおっちゃん達が使っている。

そこに私が「ごんぎつねは、どうしたこうした」と受話器に向かって話していたこともあった。

その筋のおっちゃんが、奇妙な顔をして私を見るから、よく目があった。