私はパンが好きだ。
若い頃はフルーツサンドなどを好んでいた。
今はカツサンドだ。
先日、神田道場での稽古が昼からあったので、近所の肉屋さんでカツサンドを買った。
店の人から「パンの耳は食べませんか?」と聞かれた。
「えっ何で?俺がパンの耳好きな事を知っているの?」
と有り得ない事を想像した。
一輝が小学1年生の頃は、熊野に来たのは良いが、道場を建てる段取りだけで、相当時間を食った。
予期せぬことばかり起こるからだ。
それは後日書くとして、パンの耳だ。
道場を建てる為にはお金がいる。
もちろん、建てるのは自分でやったとしても、材料のお金はいる。
それで無くても、借金を背負ったままでの生活だから、生活は困窮していた。
で、何を食料としたか。
パンの耳だ。
田辺市街まで行き、パン屋さんを探して「パンの耳を分けてください」と頼みに回るのだ。
食パン一本分が入る袋一杯に詰まった耳をくれるところもあれば、ハッキリ覚えていないがパン粉などを入れる大きな袋に一杯くれる店もあった。
もちろん、無料だ。
「お金は大切なもの」という事を教える為に、一輝の手を繋ぎパン屋さんを回る事もした。
食事は、耳のフライとか、妻が工夫をして殆ど毎食がパンの耳だった時期もあった。
いくらパン好きでも、パンの耳が毎食では飽いてくるが、お金がないから仕方がない。
今では、楽しい?思い出だ。